ある冬の日、僕、朝日マコトのもとに一通の手紙が届いた。封筒にはキラキラした箔押しの文字で「ミステリークルーズへの招待状」と印刷されている。ミステリークルーズとは、資産家の金成豊氏が毎年春に開催している謎解きイベントのことだ。
 この招待状が届くと「もうそんな季節か」と思う。僕は親戚の蒼月清史郎おじさんに連れられて、毎年必ず参加する羽目になっているのだ。
 ケータイの呼び出し音が鳴った。封筒を開けながら、電話に出る。
「だーれだ?」
「清史郎おじさん」
「…なんでわかった」
「ケータイの画面に発信者の名前が表示されてますから」
「しまった! 非通知設定にするのを忘れた!」
 清史郎おじさんは名探偵を自称しているが、いつもこんな感じでどこか抜けている。
「もう一回かけ直す」
「もういいですよ。ミステリークルーズの招待状のことなら、僕のところにも届いてます」
「要件まで当てるとは、さすが我が助手! 今年の招待状も謎付きだぞ。しかもテーマは殺人事件だ! 早く開けてみろ」
 興奮気味の清史郎おじさんに急かされて封筒の中を確認すると、殺害現場と思しき物騒な写真といくつかの謎が入っていた。
「ミステリークルーズまで謎解きは控えるつもりだったが、こうなったら解禁せざるを得んな! マコト、どっちが早くこの謎を解くか、いざ尋常に勝負!」
 僕の返事を待たずに清史郎おじさんは電話を切った。僕は「やれやれ」とため息をついて、招待状の謎に向き合った。だが僕も謎解きが嫌いなわけではない。上質な謎に、いつしか僕は夢中になっていた。



▼ 乗船前に撮影された容疑者4人の写真


▼ 事件現場の写真


▼ 事件発生後の容疑者4人の写真








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